決算書を見て経営判断できますか?

皆さまに質問です。決算書を見ること自体に抵抗をお持ちではないですか?

私は以前、会計事務所に勤めておりましたが、そこで感じていたのは、経営者の皆さまの中には、難解な決算書などを見ること自体にアレルギーがあり、見ることを避けている方が多いということでした。

そこで私は、決算書はすべてを読めるようになる必要はなく、その中の重要な情報にフォーカスし、日々の経営判断に活かすことの方が大事とお伝えしてきました。

その際に、経営数字を日々の経営に活かしやすくする方法として、おススメしてきたのが西順一郎先生が考え出されたSTRAC表です。

そして、そのSTRAC表を西順一郎先生から承諾を得て、さらに発展させたのが和仁達也先生による「お金のブロックパズル」です。

例えば、❷労働分配率は生産性を表す数字ですが、計算式としては⑤人件費 ÷ ③粗利益(≒付加価値)という表現になります。“費用の率”なので、低いほど生産性が高いことを表しますが、図で考えると、より直観的に理解しやすくなります。

また、過去の自社のパフォーマンスが良かった時の❶や❷の率と現在の率を比較分析したり、無料で一部公開されている「TKC経営指標」(www.tkc.jp/tkcnf/bast)などで、自社と似た業種の黒字企業の率を調べて、比較検討することもおススメです。

こうすることで、自社の利益を増やすために、どれくらいのお金の入(①③)と出(②④⑤⑥)のバランスを目指せば良いのか?などのギャップが見えてきます。

なお、損益分岐点売上高は、④固定費 ÷ ❶粗利率 で算出できます。応用編として、目標利益を決めてから、(④固定費 + ⑦目標利益) ÷ ❶粗利率 で目標利益を達成するための売上高も計算できます。
これらは、数式で考えると難しいのですが、やはり図で考えることで、直感的に理解ができるようになります。

「他人ごと」から「自分ごと」へ

皆さまの会社の社員さんには、どこか「他人ごと」感覚で、日々仕事をされている方はいませんか?

ブロックパズルは、社員の皆さんに、会社の状況を理解してもらうのにも役立ちます。

例えば、①売上高、②粗利益、⑦利益を、社員数(パートは0.5人で換算)で割ると、それぞれの「一人当たり」の数字がでてきます。

この「一人当たり」数字と、会社全体のお金の流れを、ブロックパズルを使って伝えてゆくことで、売上や費用が、自分たちの働き(給料)と、どうつながっているかが、具体的にイメージできるようになり、仕事への意識を「他人ごと」から「自分ごと」に変えてゆくこともできます。

利益とお金の違い

勘定あって銭足らずという言葉を聞かれたことはありますでしょうか?

これは会計上は儲かっているはずなのに、なぜかお金が思ったよりも足りないといった状態を表現した言葉です。

本来は、利益 = お金 なのですが、あくまでそれは時間軸をすべて同時にとらえた時の話です。

つまり、売上による入金、仕入や経費の支払と費用化がすべて同時に行われていれば、一致するのです。

実際には、売上の入金は翌月以降だったり、仕入や経費の支払も同じように少しずれているので、利益とお金が一致しないわけですね。

また、車や建物や機械などを購入した時、お金は出てゆきますが、原則として一度に経費にすることはできないため、使ってゆく時間の経過とともに少しずつ経費にしてゆかなくてはなりません。

これが減価償却費と言われるもので、これも利益とお金が一致しない原因の一つとなります。

適度な借入と返済の目安

借入の目安はいくつかありますが、一つは経営者が預金の残高を気にしないで、返して行ける範囲で借りるという考え方があります。

借入金の返済原資は、1年スパンで考えた場合は、法人税等を払った後の利益に、年間の減価償却費の予定額を足したものとなります。

これを本業のキャッシュフロー(営業キャッシュフロー)と呼びます。

ちなみに、減価償却費は先述の通りで、設備投資をした年にはお金は出てゆくが、経費になるのは一部です。

これは、裏返えすと年によってはお金は出てゆかなくても経費が発生している年があるということです。

そのため、利益とお金のズレの部分である減価償却費分を利益に繰り戻すことで、本業が生み出したお金が把握できるわけです。

実は、借入金の返済原資はこの本業のキャッシュフローの中からしか生まれません。そのためこの範囲内で年間返済額を抑えておくという考え方があります。

このあたりの考え方は、損益計算書の情報だけではなく、貸借対照表からも必要な情報を抜き出し、ブロックパズル図をさらに展開してゆく必要があります。

当社では、定期的に研修会「利益とお金のブロックパズル経営術」を開催しております。

研修会では、ブロックパズル図をさらに展開して、将来の設備投資の考え方、業績連動報酬のアイデアなどをお伝えしております。

過去の数字ではなく、未来の数字をどのようにつくってゆくべきなのか、社員さんに数字をどのように伝えればモチベーションを高めてくれるのか、などの着眼点を得たい経営者さまは、ぜひご参加ください。

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